2025.03.12
2025.03.12 更新

局所排気装置とは?種類や運用のために知っておきたい規則について

空間を清浄に保つ装置の導入を検討している方に向けて、局所排気装置について解説します。粉じんや化学物質が飛散する恐れがある環境では、空間を清浄に保つ装置の導入が検討されるでしょう。しかし、装置の種類はさまざまです。そのため、『局所排気装置とは何か』『他の装置との違い』について悩む方も少なくありません。

そこで今回の記事では、局所排気装置の特徴や種類、運用の規則についてご紹介します。参考にしていただければ、どのタイプの部分的な空気の排出を行う装置を導入するべきか、そもそも現場に適しているか判断していただけるはずです。

 

局所排気装置とは?

「局所排気装置」とは、汚れた空気を高濃度のまま部分的に排出するための装置です。作業場所全体に汚染された空気が広がる前に屋外に排出するために設置されます。たとえば作業場の一箇所で部分的に空気の汚染が発生した場合を考えてみます。そのまま放置すれば、汚染された空気が作業場全体に広がる可能性があります。しかし、局所排気装置を設置すれば、汚染された空気を発生箇所に留めることができます。

そのため、実験・研究をする場所においてよく用いられます。薬品を使用する場合、局所排気装置の設置が義務付けられることもあります。以上のように局所排気装置とは、汚染された空気が全体に広がる前に、屋外へと排出させるための装置のことです。

 

局所排気装置の種類

局所排気装置には主に3つの種類があります。これから設置を検討されているなら、まずは種類ごとの特徴を知ることが大切です。現場に設置するにはどの種類がふさわしいか判断しやすくなります。

 

種類1:囲い式

「囲い式」とは「ブース型」とも呼ばれ、作業をする空間をフードで囲むタイプの装置です。空気の汚染が起こる場所の三方向を囲う形状となっており、ブースの中には吸引口が設けられています。そのため汚染された空気がブースの外に漏れにくく、効率的に空気を屋外へと空気の排出ができる仕組みです。空気の汚染をできる限り外部に漏らしたくない場合に有効です。

 

種類2:外付け式

「外付け式」には可動するアームが搭載されており、作業者がアームを動かして汚染された空気を吸引します。囲い式のようにブースで囲まれてはいません。吸引口がある場所によって「側方吸引型」「上方吸引型」「下方吸引型」の3種類に分けられます。可動式のアームによって、汚染物質が発生する箇所に対してダイレクトにアプローチできるのがメリット。手元でアームを動かせるので、汚染物質が発生してすぐに吸引できるでしょう。作業中に動き回る場合でも効率的に吸引できます。

 

外付け式の種類について

外付け式の種類について簡単に解説します。

【外付け式の種類】

  • 側方吸引型:作業者の前に吸引口があるタイプ
  • 上方吸引型:作業をする場所の上方にレンジフードのような吸引口があるタイプ
  • 下方吸引型:作業をする装置の下方に吸引口が備わっているタイプ

側方吸引型は作業台の前面から空気を吸引します。上方吸引型は作業エリアの上方に、下方吸引型は作業エリアの下に吸引口が設置されています。有害物質の性質や作業効率を考慮し、適切なタイプを選択してください。

 

種類3:プッシュプル型換気装置

吹き出し気流と吸引気流を利用して、汚染された空気を吸引口へと誘導するのが「プッシュプル型換気装置」です。さらに3つの種類に分類されるため、それぞれの違いについて解説します。

プッシュプル型換気装置の種類について

密閉式で送風機の有無や、開放式であるかによって分類されます。

【種類ごとの特徴】

  • 密閉式(送風機あり):換気エリアが密閉されていて送風機があり、床上1.5mにて換気を行えるタイプ
  • 密閉式(送風機なし):換気エリアが密閉されていて送風機がなく、床上1.5mにて換気をするがプッシュ気流がないタイプ
  • 開放式:換気エリアが開放されていて、密閉されていないタイプ全般の総称[1]

基本的には密閉された形状ですが、開放されており、上方や後方から換気を行うタイプも存在します。密閉されていないタイプは、一般的に『開放式』と呼ばれます。

 

局所排気装置に関わる規則

局所排気装置を導入する前に確認しておきたい重要事項として、関連する規則があります。局所排気装置に関連する規則は4つあり、それらに適合した方法で運用しなければなりません。4つの規則について知っておきましょう。

 

規則1:有機溶剤中毒予防規則

「有機溶剤中毒予防規則」とは、有機溶剤による作業者の健康被害を防ぐための規則です。有機溶剤中毒予防規則では54種類の有機溶剤が対象となっており[2]、局所排気装置による有機溶剤の適切な排気が求められています。また、有害物質の排出を抑制し作業環境を改善すること、装置の性能を定期的に確認すること、作業者の健康状態を監視することも求められます。有機溶剤を使用する現場では、有害物質から作業者を守るために有機溶剤中毒予防規則を遵守する必要があります。

 

規則2:特定化学物質障害予防規則

「特定化学物質障害予防規則」は、化学物質から作業員の健康を守るためにあります。特定化学物質障害予防規則には次のように記載されており、準じる環境としなければなりません。

2 事業者は、(中略)当該作業場所に、ベリリウム等の粉じんの発散源を密閉する設備、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けなければならない。

出典:厚生労働省:(PDF)特定化学物質障害予防規則

化学物質を使用または加工する作業スペースでは、有害物質が広がらないよう装置を設置する必要があります。特定化学物質障害予防規則は、作業者の健康を保護するために重要な規則です。

 

規則3:鉛中毒予防規則

『鉛中毒予防規則』は、労働安全衛生法に基づいて定められています。鉛を使用する作業スペースでは、作業者が鉛中毒を防ぐための対策を講じる必要があります。鉛中毒予防規則では、厚生労働大臣により次の規定が定められています。

【鉛中毒予防規則[3]】

  • 鉛の濃度がフード外側において空気1立方メートルあたり0.05mg未満となること
  • 規定に沿った密閉式プッシュプル型換気装置を稼働させること
  • 作業者1人に対して1時間あたり100立方メートル以上の換気をすること

鉛はバッテリー、放射線吸収材、屋根材などに広く使用されています。鉛を取り扱う作業スペースでは、鉛中毒予防規則に基づく対策を実施してください。

 

規則4:粉じん障害防止規則

「粉じん障害防止規則」は、粉じんの発生で健康被害が及ばないようにする規則です。粉じんによる健康被害を受ける作業者は依然として減少していません[4]。粉じんにさらされる作業者がいる環境では、事業者が対策を講じなければならないと定めるのが粉じん障害防止規則です[4]。作業場内での粉じん飛散を防ぐためには、換気や排気の徹底、装置の設置・保守、作業者への教育が求められています。

 

局所排気装置とは作業者の健康を守るためのもの

いかがでしたでしょうか?この記事をお読みいただくことで、局所排気装置について理解を深めていただけたのではないでしょうか。部分的な排気を行う装置にはいくつかの種類がありますが、いずれも作業者の健康を守るために欠かせない装置です。

オリエンタル技研でも局所排気装置を取り扱っています。有機溶剤を用いたエッチングや洗浄を行う現場でも、空気の清浄度を維持することが可能です。導入を検討されている場合は、オリエンタル技研が適切な排気装置をご提案いたします。

当社製品の紹介ページはこちら

 

[1]参照:厚生労働省:(PDF)開放式プッシュプル型換気装置の構造と性能について

[2]参照:厚生労働省:(PDF)有機溶剤を正しく使いましょう

[3]参照:厚生労働省:○鉛中毒予防規則第三十二条第一項の厚生労働大臣が定める要件

[4]参照:厚生労働省:(PDF)第10次粉じん障害防止総合対策の推進について

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