スクラバー(排ガス洗浄装置)選定ガイド
スクラバーとは、ラボや工場からの排気に含まれる様々な有害ガスを除去する装置です。スクラバーは主に、活性炭によって有害ガスを除去する乾式スクラバーと、薬液との接触により有害ガスを除去する湿式スクラバーの2種類に大別されます。
本コラムでは、スクラバーの種類やメンテナンスの重要性をご紹介しています。
スクラバー(排ガス洗浄装置)の選定
一般的な化学薬品に対して、乾式スクラバーと湿式スクラバーのどちらが適しているのかを表にまとめました。
乾式スクラバーは疎水性有機系ガスに対して、湿式スクラバーは無機系ガスや親水性の有機系ガスに対して効果を発揮します。薬液を含浸させた特殊な活性炭を使用することで、無機系ガスや親水性の有機系ガスの一部は乾式スクラバーでも除去することが可能です。複数種類のガスを取り扱う場合には、対象の薬品種類と排出量を考慮して慎重に機器を選定する必要があります。
このようにスクラバーの選定は、一筋縄ではいきません。さらに、使用する薬品の性状だけでなく、それらを規制する各種法令や設置環境など様々な事項を検討する必要もあります。
室内置きタイプで省スペース化
屋外にスクラバーを設置するスペースがない場合や、使用薬品ごとに排気系統を分けることが困難な場合は、室内置きタイプのスクラバーが有用です。
横置きタイプと上置きタイプを選択でき、既存設備への接続も可能です。
ヒュームフード横置きタイプ
ヒュームフード上置きタイプ
スクラバーのメンテナンスの必要性
スクラバーには、定期的なメンテナンスが欠かせません。労働安全衛生法などの法令においても、定期的なメンテナンスが義務付けられている場合があります。
しかしスクラバーの設置場所が目につきにくく、普段あまり人が立ち入らない屋上等であることも多いためか、トラブルが発生するまでメンテナンスを行わないまま何年も使用し続けているケースも見受けられます。定期的なメンテナンスを怠ると様々なトラブルのおそれがあり、結果として高額な修理費用が発生することもあります。
乾式スクラバー
吸着剤である活性炭の定期的な交換が必要です。活性炭が寿命を迎え飽和してしまうと、有害ガスを除去できずにそのまま大気中に排出してしまいます。条件によっては、有害ガスが濃縮されて放出されることもあり得ます。活性炭が飽和しているかどうかは、臭いを除けば外見から判断することは難しく、飽和したまま使用し続けているということもあり得ます。
また活性炭にカビが発生し、悪臭とカビ胞子を大気中に放出する可能性も考えられます。
湿式スクラバー
洗浄液の交換と装置の清掃が必要です。汚れた洗浄液を使い続けると、洗浄効率が低下するほか、水質が悪化して洗浄液の中に菌類の塊であるバイオフィルムが発生することがあります。これが内部のフィルターに詰まることにより、洗浄力の低下や循環ポンプの故障につながる可能性があります。また、内部の充填物にバイオフィルムが付着すると洗浄液が正しく流れず、排気ダクトに逆流することもあります。さらに汚れた洗浄液は悪臭をはなったり、泡を発生させたりして周辺環境を悪化させることがあります。
汚れた湿式スクラバー内部
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ORIENTALでは、様々な条件に対応する最適なスクラバーをご提案いたします。
また、安心・安全にスクラバーをご使用いただけるよう、故障を未然に防止し、適正な機能を維持するためのメンテナンス契約プランをご用意しております。
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