BSLレベルに応じた個人用保護具(PPE)について
目次
BSLレベルに応じた個人用保護具(PPE)について
Understanding personal protective equipment
どんな個人用保護具 (Personal Protective Equipment: PPE) を使用すべきか決めることは容易ではない場合がある。そのような場合には、Biosafety in Microbiological and Biomedical Laboratories (BMBL)が参考になる。
BMBLは、米国疾病予防管理センター (CDC) が発表したガイドラインであり、臨床および研究段階で安全に作業を行うための最適なプロトコルを提案しており、実験室で行われている作業内容に基づいて必要なPPEの概要においても以下の通り記載されている:
BSL1 [P1レベル]
健康な成人に一貫して疾患を引き起こすことが知られていない試料を取扱う場合、Biosafety Level 1 (BSL1/P1レベル) が適用される。BSL1の場合、以下のような標準的なPPEの着用が必要となる。
BSL1で必要となる個人用保護具(PPE)
- 標準的な実験衣またはガウン
- 手袋
- 必要に応じて目と顔の保護
その他必要な保護具又は手順
- 二次封じ込めに必要な実験台とシンク
- 作業者は実験室を離れる前に手を洗う必要がある
BSL2 [P2レベル]
人間の疾患の様々な重症度に関連する中程度のリスクをもつ試料を扱う場合、Biosafety Level 2 (BSL2/P2レベル) が適用される。これには、経皮の損傷(刺し傷)、摂取、または粘膜への曝露によって感染する可能性のあるものが含まれる。 BSL2では、すべてのBSL1で必要とされる事項に加えて、入退室の制限、バイオハザードの警告表示、「鋭利なもの」への警戒、および廃棄物除染方法または健康監視手順を定義するバイオセーフティマニュアルを作成することが求められる。
BSL2で必要となる個人用保護具(PPE)
- ガウン
- 手袋
- 必要に応じて顔と目の保護
その他必要な保護具又は手順
- 感染性試料の飛散またはエアロゾル化を引き起こす全ての操作については、安全キャビネット(セーフティーキャビネット)またはその他の物理的封じ込め装置が必要となる。
- BSL2の二次封じ込めには、BSL1に必要なものに加えて、手洗い用の流し台とオートクレーブが含まれる。
BSL3 [P3レベル]
重篤な疾患を引き起こす可能性のある、または吸入により死亡する可能性のある試料を扱う施設は、BSL3(P3レベル)施設のガイドラインに従う必要がある。 BSL3では、BSL2で必要となる事項に加えて、洗浄前の実験衣およびすべての廃棄物の除染が求められる。安全キャビネット(セーフティーキャビネット)またはその他の物理的封じ込め装置は、一次封じ込め措置として、該当物質のすべての操作に必要となる。
BSL3で必要となる個人用保護具(PPE)
- 実験室での使用を目的としたガウンなどの実験用保護衣
- 必要に応じて手袋、目、顔、呼吸保護具
その他必要な保護具又は手順
- 廊下からの物理的な分離
- エアロックまたは前室を介した自動閉鎖式の両開き扉
- 実験室内空気を循環させないこと
- 実験室内を陰圧に保つこと
- 実験室出口近くに流し台を設けること
BSL4 [P4レベル]
最も危険な試料には、Biosafety Level 4 (BSL4/P4レベル) が適用される。これは、多くの場合致死性があり、有効な予防法や治療法が確立されておらず、エアロゾルを介して実験室感染を引き起こすリスクが高い危険な試料を扱う場合に適用される。また、感染のリスクが不明な試料や、BSL4を必要とすることが知られているものと密接または同一の抗原関係にある試料を取扱う際にも適用される。
BSL4で必要となる個人用保護具(PPE)
BSL3で必要となる事項に加えて、
- 防護服未着用での入室を禁じること
- 実験室を出るときにシャワーを浴びること
- 施設を出る前にすべての物質を除染すること
必要とされる一次封じ込め措置
- クラスIまたはIIの安全キャビネット(セーフティーキャビネット)と全身陽圧防護服
-または-
- クラスIII安全キャビネット(セーフティーキャビネット)
重要:すべての操作は、上記で説明したタイプの安全キャビネット(セーフティーキャビネット)内で行う必要がある。
その他必要な保護具
- BSL3で必要とされるものすべてを含む二次封じ込め措置
- 給気と排気のための専用システムを備えた独立した建物または隔離されたエリア
- 真空および除染システム