2025.03.12
2025.03.12 更新

コンタミネーションとは?起こる原因と対策として実践すべきこと

食品や製品を製造する現場では、コンタミネーションに十分注意を払う必要があります。コンタミネーションが起こってしまった場合、消費者からの信用を失う可能性があるほか、場合によっては命に関わる消費者事故につながってしまう恐れがあります。

しかし、コンタミネーションについて詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
そこで、コンタミネーションについて詳しく知りたい方のため、本コラムではコンタミネーションの詳細と具体的な対策を解説していきます。製造現場の安全性を高めたい方はぜひご覧ください。

 

コンタミネーションとは?

コンタミネーションとは、本来含まれるべきではない異物・微生物などが混入してしまうトラブルのことです。略して「コンタミ」とも呼ばれます。

食品業界では微生物や昆虫、製造現場では金属片や破片などが混入することがあり、これらがコンタミネーションに該当します。

製造現場でコンタミネーションが起こった場合は、製品の不良につながってしまうこともあります。また、科学実験では雑菌や異物が混入すると、正確な実験結果を得ることができなくなります。
やり直しともなれば時間や費用もかかるため、コンタミネーションが発生しないように十分注意が必要です。

 

コンタミネーションの危険性

コンタミネーションに最も注意が必要とされるのが、食品関係の分野です。たとえば、意図せずアレルギー物質が混入してしまった場合、それを知らずに食べた人が重篤な症状を引き起こしてしまう恐れがあります。
アレルギーによる症状は非常に重くなることもあり、場合によっては命にも関わるものです。

このような事態が発生すると、企業のイメージが低下することは避けられません。場合によっては、イメージダウンや賠償請求などにより、倒産してしまう可能性も十分に考えられます。

企業として安全性が確保できているものを提供していくことは当然のことともいえるので、コンタミネーション対策が必須です。

 

コンタミネーションの事例

日本でも実際にコンタミネーションが発生してしまったことがあります。ここでは、2つの事例をご紹介します。

 

アレルゲン表示のない食品による蕁麻疹

アレルギーを持つ方がアレルゲン表示のない食品を口にしてしまい、蕁麻疹が出てしまった事例です。
日本では、特定原材料として、えび、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生の8品目を定めています。これらを含む食品はアレルギー症状を引き起こすことがあるため、表示が義務化されているものです。

しかし、商品によっては『○○を含む製品と共通の設備で製造しています』といった注意書きが記載されている場合があります。これは、コンタミネーションの恐れがあるものです。

アレルゲン表示に記載がないため安心して食べた結果、コンタミネーションが原因で蕁麻疹が発生した事例が報告されています。

 

食器に付着したコンタミネーションによるアレルギー反応

原材料として正しくないものが混入したわけではなくても、食器に原因となる物質が付着していたためにアレルギー反応が起こってしまった事例があります。提供するお店側としては、このようにその料理自体に特定原材料や特定原材料に準ずるものが使われていないとしても、十分注意しなければなりません。

これは、調理中にも同様のことがいえます。特定原材料や特定原材料に準ずるものを調理した際に使用した調理器具を洗うことなく他の調理にも使用してしまうと、コンタミネーションが起こってしまう恐れがあります。
調理をする担当者全員がコンタミネーションについて正しく理解することも欠かせません。

 

コンタミネーションが起こる原因

コンタミネーションがどのような原因で起こるのかを理解しておくことで、予防に役立ちます。代表的な原因は以下の4種類です。

生物的原因

食品の中でウイルスや細菌、真菌などの微生物が繁殖することにより汚染を引き起こすこと

化学的原因

残留農薬や食品添加物、重金属、などの有害な化学物質が食品中に混入すること

物理的原因

ガラス片や金属片、髪の毛、ゴミなどの異物が食品中に混入すること

人為的原因

食品を取り扱った人の不注意や過失によって汚染が発生すること

 

人為的原因については、実にさまざまなことが考えられます。
手洗い不足や誤った方法での食材の保存などにも注意が必要です。

 

コンタミネーションを対策する方法

コンタミネーションが発生しないように注意するためには、日頃から対策を徹底することが重要です。マニュアルなどを整備し、作業を行うすべての人が正しく対応できるように体制を整えておく必要があります。

ここでは、具体的にどのようなことに注意するとコンタミネーション対策になるのかご紹介します。

 

製造ラインを清潔に保つ

異物の混入を防ぐためには、製造ラインを常に清潔な状態に整えておくことが欠かせません。

取り扱うものによっては、洗浄だけでは成分や汚れを十分に落とせず、消毒が必要な場合もあります。特に微生物は目では見えないため、付着している可能性を考えて次亜塩素酸ナトリウムや過酸化水素などを使い、消毒を行うことが大切です。
あらかじめ水で汚れを流した上でアルカリ性洗剤または酸性洗剤を使って洗浄し、消毒を行うことになります。

コンタミネーションが発生した場合の影響を作業員が理解することで、丁寧な清掃や消毒につながります。

 

特定原材料・特定原材料を含まない食品から製造する

アレルゲンとなる可能性のある特定原材料・特定原材料を含む食品と含まない食品がある場合は、含まない食品から製造を行うのもポイントです。順番を逆にしてしまうと、先に製造した食品に含まれる特定原材料が、後から製造する食品に混入する恐れがあります。

工場では、異なる食品を取り扱う製造ラインが隣接している場合があります。このような場合は、両方の製造ラインでは、先にアレルゲンとなる可能性のある特定原材料を含まないものを製造することをお勧めします。
特に粉や水分はコンタミネーションが起こりやすいのでより注意が必要です。

 

器具を使いまわさないようにする

コンタミネーションが発生してしまう原因として多いのが、器具の使いまわしです。器具の使いまわしによって、アレルゲンに触れた器具が他の食品と接触することにより発生する「クロスコンタミネーション」のリスクが高まります。
たとえば、卵をかきまぜた菜箸で他の料理を調理するような形です。

食品工場の多くでは複数の食品を製造していることがありますが、製製造する食品ごとに専用の器具を用意することが理想です。ただ、専用のものを用意していたとしても人為的ミスから器具の取り違えが発生してしまう可能性があるため、色分けするなどの工夫も必要です。
置き場所などのルールを作るのも効果的です。

 

マニュアルを徹底する

安全に作業を進めていくのに必要なマニュアルを作成し、それを徹底していくことも重要です。作業員に対し「コンタミネーションに注意するように」とだけ伝えても、具体的にどのように取り組んでいけば良いのか分かりません。

多くの場合、コンタミネーションは意図して起こるものではなく、うっかりミスや知識不足によって引き起こされるものです。マニュアルとして注意しておかなければならないことを明確にしておき、具体的な作業手順も定めておくと、それを遵守するだけでコンタミネーションのリスクを大きく減らせます。

また、作業手順や取り扱うものが変わった場合には、マニュアルを適宜更新することが求められます。

 

製造機器を見直す

現在使用している製造機器自体にコンタミネーションの危険性がある場合は、リスクの少ない製造機器に交換することも効果的な対策です。たとえば、十分に洗浄したつもりでも成分が残りやすい構造の製造機器である場合、洗浄や消毒が容易な製造機器への交換をお勧めします。

また、劣化が進んだ機器を使用すると、部品が外れたり剥がれたりして異物混入の原因となる可能性があります。耐用年数を必ず確認して、それを守るようにしましょう。

使い方によっては早い段階で劣化してしまうこともあるため、定期的な点検も欠かせません。マニュアルに日次点検や週次点検を定めておくようにしましょう。

 

コンタミネーションの対策に役立つホモジナイザー

コンタミネーション対策としてホモジナイザーを使用する方法があります。ホモジナイザーとは物質を均一化する役割を持つ機器のことです。

ホモジナイザーを使用する場合は、コンタミネーション対策に適したものを選ぶことが求められます。
たとえば、使い捨て密封チューブが使用できるタイプの場合、各種チューブを使い分けることで異物の混入を防ぐことが可能です。
また、密閉環境で処理できるタイプについても同様で異物混入防止に役立ちます。

これらの配慮が欠けているホモジナイザーでは、異物が混入した場合に均一化され、コンタミネーションの原因となる可能性があります。

 

コンタミネーションに対する理解を深めておく必要がある

今回はコンタミネーションの概要や、対策についてご紹介しました。どのようなことが原因となって発生するのか、どういった方法で対策を取れば良いのかなどについてご理解いただけたかと思います。
まずは作業員がコンタミネーションを十分に理解することが最も重要です。

オリエンタル技研工業株式会社では、コンタミネーション対策につながる各種設備にも対応しております。対策を検討しているが、適切な設備が分からない場合は、ぜひご相談ください。

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